新規化学物質登記制度の改正及び施行に伴い、年間製造/輸入量が1トン未満の物質が届出できる旧制度が廃止となりました。多くの企業から「1トン未満でも届出できなくなった今、どのコンプライアンスルートを選べばよいのか」、「申請資料はどう準備するか」、「既存の届出済物質どのように移行(転換)すればよいか」といった問い合わせが寄せられています。
本稿は生態環境部固体廃棄センターの Q&A、ポリマー登記ガイドライン及びオンライン申請システムの更新情報を踏まえ、1トン未満新規化学物質の新制度による簡易登記要件を整理し、企業が申請ポイントを把握し、実務上のトラブルを回避できるようまとめました。
改正後の新規化学物質環境管理登記制度により、年間製造/輸入量が1トン未満の新規化学物質に適用されていた届出制度が廃止されました。「中国既存化学物質名録」に未収載の1トン未満の新規化学物質は、すべてが簡易登記の対象及び行政許可事項となります。
◾新旧制度の違い
旧制度:1トン未満の化学物質は届出制が採用されており、企業が届出資料を提出し受理通知書を取得するだけで製造/輸入を開始可能である「事後保管」の届出となり、行政許可審査は不要でした。
新制度:これらの物質は届出が認められなくなり、簡易登記を完了し登記証を取得してからでなければ、商業的な製造/輸入を実施できません。
◾システム切り替え情報
2026年8月15日、生態環境部オンライン申請システムの画面モジュールが切り替わり、以前の「届出申請」メニューが「登登記申請」へ正式に変更されました。
⚠既存届出の移行に関する重要注意事項
旧届出受理通知書を保有する1トン未満の新規化学物質は、自動的に登記証へ切り替わりません。企業は期限(2026年12月31日)までに、オンラインシステム内の専用「登記申請」業務モジュールより申請を行い、届出から簡易登記へのコンプライアンス移行を完了させる必要があります。期限内に移行手続きを行わない場合、当該物質の製造/輸入を継続することができなくなります。
旧届出制度では、海外輸出業者が届出申請者となり、国内代理人と共にコンプライアンス義務を果たすことができました。しかし現在、従来の代理人制度は廃止され、登記申請者は国内の独立した法人資格を持ち、法的責任を単独で負える製造/輸入事業者に限定されています。
海外企業は直接登記申請を開始することができず、すべて国内の資格を満たす法人主体を申請人として委託し、一連の申請手続きをを完了させる必要があります。委託契約書の中で代理権限と法律責任を明確に定めなければなりません。申請着手前に主体資格を事前確認し、主体不適格による申請却下を避ける必要があります。
「新規化学物質環境管理登記 Q&A(シリーズ12)」及び登記ガイドラインによると、1トン未満の簡易登記は、従来の届出時のデータ要件を基本的に引き続き満たしますが、複数の項目が必須記載項目として追加されています。資料リストは一般物質とポリマーの 2 種類に分かれています。
基礎データ:物理化学的性質、生態毒性、健康影響、環境有害性情報がある場合は正確に記載(強制的データ要件ではない)。
簡易登記申請書:1件の申請書につき単一の化学物質のみを登記可能となり、複数物質の一括登記は認められなくなりました。物質の用途区分、申請用途、効能効果などの使用情報を完全に記載する必要があります。これはシステムアップグレードに伴う追加項目であり、届出から登記への審査重点項目となります。
新規記載項目-使用情報: 複数用途の同時申請が可能ですが、用途ごとに区分、申請用途及び効能説明を記載しなければなりません。
①用途区分:
ドロップダウンリストから「大分類」「小分類」を順に選択し、対応する用途コード(例:10b)を生成します。システムには「その他溶剤」「セラミックス・耐火物・ファインセラミックス」「試験研究用」「中間体(合成原料・重合原料・重合開始剤など)」「化粧品」などの標準選択肢が設定されています。最も適合する区分を選択し、自由記載は認められません。
②申請用途と効能:
選択した用途のもとで、当該物質が果たす具体的な役割を簡潔に記述する必要があります。
定義:モノマー又は反応剤の含有量が2%以下、または低懸念ポリマーに該当する新規化学物質を指します。上記のシステム記載以外に、Q&A (シリーズ12)で定められた実質的なコンプライアンス要件を遵守する必要があります。これらは申請フォームに直接記載されていないものの、技術審査の必須確認事項です。
名称の統一性:ポリマーの中文化学名称は「化学物質環境管理命名規範(HJ1357-2024)」に適合させ、英文名称は IUPAC または CAS 規則に従って命名し、中英文名称は一致している必要があります。商品名と略称は「その他の名称」欄にのみ記載できます。。
モノマー/反応剤リスト:反応に使用した全てのモノマーと反応剤(最終構造に結合しないものを含む)を列挙し、化学名、CAS 番号及び投入重量比(%)を正しく記載する必要があります。
分子量評価:分子量の分布データ(GPC 分子量分布図など)を提出しなければなりません。特殊な性質によりテストが不可能な場合は、反応メカニズムに基づき推計プロセスを完全に記載する必要があります。
排除情形の説明:ポリマーが排除情形に該当しないことに関する説明については、分子構造、用途及び試験データなどの客観的根拠に基づいて作成する必要があり、「当該物質はカチオン性ポリマーに該当しない」といった主観的な記述のみを提供することは認められません。
カチオン性ポリマーの制限:カチオン性ポリマーは原則として常規登記または簡易登記を行う必要があります。例外として「固体で水に不溶・水に分散せず、固相のみで使用する」、または「カチオン密度が低い(FGEW≧5000 ダルトン)」の二つの条件を満たす場合に限り、簡易登記の申請が可能となります。
分解性又は安定性の説明:分子構造と使用環境などに基づき総合的に評価し、分解性試験もしくは安定性試験のデータまたは調査報告書を提出しなければなりません。
営業秘密に該当しない場合:チェック不要、資料添付なし。
営業秘密に該当する場合:化学名、CAS 番号またはSMILES コードの欄に「情報保護を申請する」をチェックし、必要性説明書(秘密に該当する理由、公開された場合の利益損失など)を添付する必要があります。
第12号令に基づき、化学物質の識別情報(中英文名称、CAS 番号、分子式と構造式等)の保護期間は最長で5 年間となります。
多くの企業は登記書取得の段階に重点を置き、その後の追跡管理義務を見過ごしがちです。1トン未満の簡易登記証所持者は、以下の事後責任を継続的に履行する必要があります。
資料保管と情報アップロード: 化学物質の生産/輸入数量、用途、リスク管理などの実施記録を完全に保存し、毎年3月31日までに前年度の情報登録システムへアップロードする必要があります。
新規危害情報の報告: 化学物質に未確認の環境・健康有害性が新たに発見された場合、主管部門へ速やかに報告し、同時にリスク低減措置を実施しなければなりません。
登記内容の遵守: 登記証に記載されたトン数範囲、許可された用途に従って貿易活動を展開します。実際の用途が変更し、登記許可範囲外となった場合は、登記変更の必要性を評価することが必要となります。
社内物質リストの整理:①未申請の1トン未満新規化学物質、②届出済の受理通知書を保有する既存物質に区分し、新規申請と届出から登録への移行スケジュールを作成し、締切日(2026年12月31日)直前の審査混雑を回避します。
申請主体の事前確認:海外サプライヤーと事前調整し、国内の適切な法人申請者を確定させ、委任契約書の権限と責任条項を整備します。
ポリマー登記の事前自己点検:補正回数を削減するために、名称、モノマーリスト、分子量分布、排除状況が定められた証拠書類を事前確認します。
申請時の記載事項:審査をスムーズに通過させるため、用途情報は詳細かつ事実通りに記載し、曖昧な概括表現を使用しません。
今回の制度改正により、従来の届出ルートであった1トン未満の新規化学物質は行政許可である簡易登記の対象へ移行しました。単に企業のハードルを引き上げるものではくな、既存の基礎データ要件を維持した前提で、源からの環境リスク管理を強化するものとなります。新規登記の申告であれ、既存届出の移行であれ、企業が申告資料の要点を十分に理解し、時間枠を適切に管理することで、円滑なコンプライアンス移行を完了し、新規化学物質が合法的に中国市場に参入することを保証できます。また、企業はその後の新規化学物質登記管理法規制度の改正と施行の推進を注視し、最新の要件に従ってコンプライアンス戦略を動的に調整することをお勧めします。
免責事項: 本稿は生態環境部の公開Q&A、登録ガイドライン及びオンライン申請システムの公開情報などに基づいて整理されたものであり、コンプライアンス参考としてのみ提供されます。実際の申請手続きは生態環境部の最新公式文書、システム上の入力指示に従ってください。